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不動産を購入する時には、仲介手数料やローン手数料、登記費用や不動産取得税などの諸費用がかかります。
では、不動産を売却する際はどのような費用がかかるのでしょうか。
今回は不動産売却時の諸費用や税金の種類、特例などについて詳しく解説します。
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不動産の売却時にかかる費用は大きく分けて3種類あります。
1つ目は契約・決済時にかかる手数料や印紙税といった費用。
2つ目は不動産をスムーズに売却するためにかかる解体費や測量費といった費用で、物件によってはかからないこともあります。
3つ目は売却益(譲渡所得)が出たときにかかる税金です。
売買契約・決済時にかかる諸費用
契約時には不動産会社へ支払う仲介手数料や売買契約書に貼る印紙代、住宅ローンが残っている場合は決済時に抵当権抹消登記費用などがかかります。
●仲介手数料(売買価格x3%+6万円+消費税)
●印紙税(売買契約書に貼付する収入印紙にかかる税金)
●登録免許税(抵当権抹消登記にかかる費用、司法書士への報酬)
ちなみに、所有権移転登記の費用は通常買主が負担しますので売却時の負担はありません。
スムーズに売却するための費用
不動産の売却をスムーズにするために以下のような費用がかかることもあります。
●建物の解体費
●敷地の測量費
●廃棄物処理費
●賃借人の立退料
●ハウスクリーニング代
譲渡所得に対する所得税・住民税と復興特別税
近年の好調な不動産市場において、購入価格より高く売れたというケースも増えています。
不動産売却によって「譲渡所得」が発生した場合には、所得税と住民税が課税されます。
「譲渡所得」は、不動産の譲渡価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
譲渡所得=譲渡価格ー(取得費+譲渡費用)
取得費とは、不動産の購入代金にくわえて仲介手数料などの諸費用やリフォーム費用などをくわえた金額のこと。
なお、所有期間中に納めた固定資産税・都市計画税やマンションの管理費・修繕積立金、住宅ローン金利や住宅ローン保証料、火災保険料などの費用は取得費に含まれません。
譲渡費用とは不動産を売るためにかかった諸費用のことです。
具体的には仲介手数料、印紙代、更地にして売却した場合は建物解体費や測量費、賃借人に支払った立退料なども譲渡費用に含まれます。
ただし、引越し費用は含まれません。
譲渡所得の計算する際には、取得費と譲渡費用をスムーズに把握できるように売買契約書や諸費用の領収書などの関係書類を用意しておきましょう。
不動産の譲渡所得の税率(長期譲渡所得・短期譲渡所得)
譲渡した不動産の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、所有期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」として区別され、それぞれ税率が異なります。
長期譲渡所得の場合
所得税15%+住民税5%=20%
短期譲渡所得の場合
所得税30%+住民税9%=39%
国などに譲渡する場合は、長期譲渡所得と同じ税率に軽減されます。
復興特別税
復興特別税は、東日本大震災の復興のためにかかる税金です。
課税期間は平成25年から令和19年までで、所得税額に対して2.1%が課税されます。
そのため、実際に課税される所得税額は15.315%、30.63%となります。
譲渡所得の「取得費」を計算する際は「減価償却費」に要注意
譲渡所得の「取得費」を計算する際は、建物の減価償却費に注意が必要です。
土地の取得費は購入価格となりますが、建物は経年劣化により価値が減少するため、購入代金や建築費をそのまま取得費として計上できません。
そのため、不動産(土地+建物)の購入価格のうち、建物部分については、所有期間中の減価償却費相当額を差し引く必要があります。
たとえば譲渡価格が購入価格が同額だった場合、購入時と売却時の諸費用額にもよりますが、減価償却費を差し引くと取得費が下がるため、所有期間によっては譲渡所得が発生することがあります。
減価償却費=建物価格×0.9×償却率×所有年数
償却率は建物の構造や、建物の使用目的が事業用かそうでないかによって異なります。
詳しい計算方法については国税庁のホームページなどでも確認できます。
また、数十年前に取得した土地などで取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡価額の5%未満というときは、譲渡価額の5%を概算取得費として計算します。
消費税は非課税
消費税とは、事業の収入にかかる税金です。
個人が居住用の不動産を売却することは事業には当たらないため、たとえ譲渡所得が発生したとしても消費税は課税されません。
不動産売却時にかかる費用ー居住用財産売却時の最高3,000万円特別控除と軽減税率
「譲渡所得」にかかる税率は決して安いものではありません。
また、建物の減価償却費などを差し引くと、実際には手元にお金が残っていないのに課税されてしまうこともあります。
そのため、自宅(自己居住財産)を売却した際の「譲渡所得」にかかる税金は特例で軽減されます。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
自らが居住する不動産を売却した際には、所有期間に関わらず譲渡所得から最高3,000万円まで控除することができます。
課税譲渡所得金額=不動産の売却代金-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
譲渡所得が3,000万円以下の場合には納税額が0円となるため、近年の好調な不動産市況を受けて恩恵を受ける人は多いのではないでしょうか。
不動産の譲渡所得には自宅の譲渡の他に、収用などによる譲渡(5,000万円)、特定土地区画整理事業などのための土地譲渡(2,000万円)、特定土地区画整理事業などのための土地譲渡(1,500万円)などに特別控除額が設定されています。
この特例を利用する際には確定申告が必要となります。
また、下記のような注意点がいくつかあります。
●売却する不動産に住まなくなってから3年を経過してしまうと利用出来ません。
●売却した年の前年及び前々年にこの特例、または譲渡損失の損益通算や繰越控除を受けている場合は利用できません。
●売主と買主が親子や夫婦など特別な関係の場合は利用できません。
●住宅ローン控除との併用ができないため、住み替え先の不動産で住宅ローン控除を利用したい場合は、3,000万円特別控除の特例を利用した場合の節税額と住宅ローン控除利用時の還付額(推定)を比較してどちらを利用するかを決めなければなりません。
居住用不動産の長期譲渡所得の軽減税率
自宅(居住用財産)を売却する場合、所有期間が10年を超える場合の長期譲渡所得については軽減税率の特例を受けることができます。
この特例は、上記の「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と併用が可能です。
譲渡所得の6,000万円以下の部分…所得税10%+住民税4%=14%
譲渡所得の6,000万円の超える部分…所得税15%+住民税5%=20%
不動産売却時にかかる費用ー不動産を売却したら確定申告は必要?
確定申告とは
確定申告とは、1月1日から12月31日まで所得の合計額を税務署に申告し、納税することです。
会社員の場合、給与以外の所得がなければ会社が源泉徴収・年末調整をしてくれるため、確定申告の必要はありません。
しかし、不動産の売却により発生した「譲渡所得」は給与所得とは分離して課税されるため、確定申告が必要です。
確定申告が必要なケース・不要なケース
不動産の売却後に確定申告が必要になるのは「譲渡所得」が発生した時です。
上記で説明した特例「居住用不動産の譲渡所得3,000万円特別控除」を受けたい場合にも、確定申告が必要です。
一方、「譲渡所得」が発生しなかった場合は、確定申告の必要はありません。
ただし、自宅を買い替えた際に「譲渡損失」が発生した場合は、その損失額と給与所得や事業所得を損益通算して納税額を抑えることができます。
損失額が他の所得よりも大きい場合には、「繰越控除」といって3年間に渡って損益通算できるため、やはり確定申告をおこなうことをおすすめします。(一定の適用条件あり)
まとめ
いかがでしたか?
不動産を売却する際には、さまざまな税金がかかります。
近年は不動産市況が好調なため、譲渡所得が発生するケースが多くあります。
所有期間や居住用かどうかによっても税率が異なってくるため、おおよその税額をあらかじめ把握しておくことが大切です。
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