マイホームを新築すると固定資産税という税金が発生します。
しかし一定の期間(3年や5年)は、特例により税金負担が軽減されるのが一般的です。
では固定資産税とは具体的どのような税金なのでしょうか?
この記事では住宅購入を検討されている人に向け、新築住宅の固定資産税の軽減について詳しくお伝えします。
新築すると軽減される固定資産税とは?
まずは新築すると軽減される、固定資産税とはどのようなものなのか詳しく見ていきましょう。
固定資産税とは、土地や建物を所有している人に対して発生する地方税です。
国に対して納めるのではなく、市町村に支払う税金となるため、新築した場所を管轄する固定資産税課に支払います。
該当するものは?
新築住宅以外にも、以下を所有している場合は課税対象になります。
●土地:宅地、田、畑、山林、池、沼、山林、塩田、牧場、原野、鉱泉地、雑種地
●家屋:住宅、店舗、倉庫、発電所や変電所を含む工場
●償却資産:パソコンやコピー機などの備品、工具、機械や装置、建築物、医療機器、船舶、航空機など、法人税や所得税上で減価償却をおこなう資産
償却資産とは時間の経過とともに経年劣化し、資産価値が減少していく資産のことです。
ただし自動車税が課税される自動車は含まれません。
ちなみに土地や家屋は、毎年1月1日に固定資産課税台帳に登録されている資産が対象です。
価格をもとに金額が計算され、資産がある場所を管轄する市町村に支払います。
償却資産は毎年1月1日の時点で所有しているものを、月末までに市町村へ申告することが条件です。
いつ取得したのか、いくらで購入したのかなどを申告するので、購入時の領収書は忘れずに保管しておきましょう。
計算方法は?
固定資産税は、以下のように計算します。
課税標準額×標準税率
課税標準額とは所有している資産の評価額のことで、評価額に標準税率をかけて算出していきます。
標準税率は一般的に1.4%ですが、自治体によって異なるので注意してください。
また課税標準額は固定資産税評価額をベースに算出されます。
固定資産税評価額は評価替えによって3年に1度見直されますが、実際に取引された価格(実勢価格)の約70%になるのが一般的です。
新築住宅の場合は、固定資産税の納付書と一緒に届く明細書に金額が記載されています。
納付書が送付されるのは毎年4月から5月頃なので、見落とさないようにしましょう。
ちなみに固定資産税の納付は、一般的に一括払いか分割払いになります。
分割払いを選んだ場合、基本的には4回払いとなりますが、納付期限は自治体によって異なるので注意しましょう。
東京23区における2021年(令和2年)度の納付期限は以下のとおりです。
●第1期:令和2年6月1日から6月末
●第2期:令和2年9月1日から9月末
●第3期:令和2年12月1日から12月28日
●第4期:令和3年2月1日から3月1日
滞納すると延滞金が発生したり、せっかく建てた新築住宅が差し押さえになったりする可能性があります。
そのため期日内に必ず納税するようにしてください。
もし支払いがむずかしい場合は自治体に連絡し、猶予や減免について相談してみましょう。
新築住宅購入時の固定資産税の軽減とは?
つぎに新築住宅購入時の固定資産税の軽減とはどのようなものか、詳しく見ていきます。
新築した場合、一定の期間は税金の軽減措置を受けられます。
土地の軽減措置
居住用として新築住宅を建てた場合、200㎡までの部分は、6分の1の課税標準で計算することが可能です。
220㎡を超えるときは、床面積の10倍までの部分が3分の1まで軽減されます。
また私有地であってもつぎのような条件を満たし、道路と認められる場合は非課税です。
●不特定多数が出入りする土地
●道路の幅が1.8m以上
●第三者が見たとき、道路と認識できる
●私道ではなく公道から公道に通じている
上記の条件を満たしている場合は、公共性の高い土地と判断されます。
ただし、非課税申告書を提出しないと非課税の適用を受けられないことがあるので注意してください。
また公道から公道につながらず、いき止まりになっている道路であっても非課税になるケースがあります。
不特定多数が出入りする土地に新築住宅を建てた場合は、管轄する自治体へ問い合わせてみましょう。
建物の軽減措置
新築住宅の建物は、床面積120㎡相当分までが軽減されます。
120㎡までは固定資産税が半額になる軽減措置を受けられますが、120㎡を超える部分は対象外です。
住宅の種類と税額が軽減される期間は以下を参考にしてください。
●一般的な新築住宅:新築後3年間
●長期優良住宅:新築後5年
●耐火または準耐火構造の新築住宅やマンション(3階建て以上):新築後5年
●長期優良住宅かつ耐火または準耐火構造の新築住宅やマンション(3階建て以上):新築後7年
軽減される期間は、どのような住宅を新築するかによって異なります。
また長期優良住宅の場合、取得したら遅滞なく自治体に届ける必要があるので忘れないようにしましょう。
一戸建ての新築住宅で5年間固定資産税の軽減を受けるための条件
最後に一戸建ての新築住宅で、5年間固定資産税の軽減を受けるための条件を見ていきましょう。
5年間の軽減措置を受けるためには、住居部分の床面積が50㎡以上、280㎡以下であることが条件です。
併用住宅を新築した場合、居住するスペースが全体の半分以上あれば基準を満たしていることになります。
ただし一般的な新築住宅は3年間が軽減期間となるため、5年間を希望する場合は長期優良住宅と認められなければなりません。
また軽減措置を受けるためには、自分自身で手続きをおこなう必要があります。
引き渡し後なにもしないで待っていても、軽減されないので注意しましょう。
申告期限は新築住宅を取得した翌年の1月末までとなっています。
時間を置いてしまうとうっかり忘れてしまうかもしれないので、速やかに申告するのがおすすめです。
5年間の軽減措置を受けるための申告方法
固定資産税の軽減措置に関する書類を作成し、自治体(固定資産税課など)に申告します。
具体的には以下の書類が必要です。
●長期優良住宅に係る固定資産税の減額申告書
●長期優良住宅の認定通知書(写しでも可能)
自治体によって必要書類が異なるので、あらかじめチェックしておくといいでしょう。
また申告書には持ち主の名前や連絡先、住所はもちろん、建物の構造や床面積を記載する必要があります。
そのため契約時の書類などを準備しておく安心です。
正しく課税されているかを確認しよう
先述したとおり、固定資産税の納付書は毎年5月頃に送付されてきます。
定められた計算方法で算出されるため、正しい金額が記載されていることがほとんどですが、念のために確認しておくのがおすすめです。
課税証明書の金額と公図や路線価図などを見比べ、正しい税額かどうかチェックします。
本来非課税になる部分が課税されていたり、新築住宅なのに償却資産に設定されていたり、誤った金額が記載される理由はさまざまです。
疑問に思ったときは納税を進めず、まずは自治体や専門家に相談するようにしてください。
まとめ
今回は住宅購入を検討されている人に向け、新築住宅における固定資産税の軽減について詳しくお伝えしました。
固定資産税は、マイホームなどの不動産を所有している限り発生するため、ランニングコストとして含めておくのがおすすめです。
5年間受けるための条件もぜひおさえていただき、税金負担を回避しましょう。