空き家を相続したものの活用しきれず、不動産売却を検討している方は多いのではないでしょうか。
空き家を放置するとさまざまなリスクがあるため、活用できていないのであれば早めに売却したほうが良いでしょう。
そのような場合に検討いただきたいのが空き家特例の活用です。
空き家特例を活用すると、不動産売却益に課税される譲渡所得税の特別控除を受けることができます。
ただし空き家特例には厳しい適用条件があるので、注意が必要です。
空き家特例について概要や適用条件・ポイントについてご説明します。
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弊社へのお問い合わせはこちら空き家特例を活用した不動産売却!①空き家特例とは
空き家特例の正式名称は、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」いい、増え続ける空き家を抑制するために設けられた制度です。
まずは空き家特例とは何か、その概要を解説します。
空き家特例の概要
空き家特例とは相続などで取得した建物または土地を売却して一定の要件を満たすとき、譲渡所得の金額から最高3,000万円控除するものです。
譲渡所得税の仕組み
譲渡所得とは所得税における所得区分のひとつで、所有している資産を譲渡することによって発生する所得(不動産売却益など)を指します。
譲渡所得に税額をかけて、譲渡所得税の額が算出される仕組みです。
空き家特例を使えば課税対象の譲渡所得を減らせるので、大幅な節税が期待できます。
空き家特例の節税効果
実際に空き家特例を使うと、どのくらいの税金が節約できるのでしょうか。
空き家の売却益が3,500万円と仮定して、シミレーションしてみましょう。
3,000万円の特別控除を適用すると、課税対象となる譲渡所得は500万円(3,500万円-3,000万円)です。
このときの譲渡所得税は、101万円(500万円×20.315%)となります。
一方で空き家特例を使わない場合の譲渡所得は3,500万円のままで、譲渡所得税は711万円(3,500万円×20.315%)です。
空き家特例を活用すると、譲渡所得税が610万円もお得になることがわかりました。
ちなみに不動産売却益が3,000万円以下の場合は、譲渡所得税がまったく課税されません。
空き家特例の手続き
空き家特例の適用を受けるためには、まず空き家がある市町村で被相続人居住用家屋等確認申請書と必要書類を提出し、確認書の交付を受けましょう。
交付を受けた確認書を確定申告書とともに税務署に提出します。
空き家特例を活用した不動産売却!②空き家特例の適用条件とは
空き家特例を活用するためには、数々の条件をクリアしなければなりません。
ひとつでも当てはまらない場合は、空き家特例を受けられませんので注意しましょう。
売主が建物と土地の両方を相続により取得していること
相続によって建物と土地どちらか一方のみを取得した場合は、空き家特例を活用できません。
また建物と土地の両方を相続した後に、次のいずれかの方法で不動産売却することが必要です。
●建物を売却するか、建物と土地両方を売却すること
●建物を取り壊してから土地を売却すること
一定期間に譲渡すること
空き家特例の対象となる譲渡期間は限られています。
相続日から3年が経過する日の属する年の12月31日までが譲渡期限で、かつ2016(平成28年)年4月1日から2023年(令和5年)12月31日までの期間に譲渡しなければなりません。
被相続人が一人で暮らしていた不動産であること
相続直前まで被相続人が一人で暮らしていた不動産が対象です。
2019年(令和元年)4月1日以降の譲渡に関しては、被相続人が要介護認定を受けて老人ホームに入所していた場合も一定の条件を満たせば適用条件を満たすことになりました。
1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された建物であること
1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された建物とは旧耐震基準の建物を指しています。
空き家特例は、耐震性の低い危険な空き家を増やさないことが目的です。
そのため旧耐震基準の建物であることが、耐震性の判断基準として設定されています。
区分所有建物ではないこと
区分所有建物はマンションなどの集合住宅を指します。
マンションでは管理組合などで長期的な修繕計画を立案・実行しているので、対象にはなりません。
相続してから譲渡まで空き家の状態であること
相続してから譲渡までの期間中、相続人がその不動産に住むと空き家ではなくなってしまうため、空き家特例の適用はできません。
賃貸事業や駐車場事業をおこなった場合も同様に、適用条件から外れてしまいます。
譲渡価格が1億円以下であること
譲渡価格が1億円を超える場合も、適用対象外となります。
複数回に分けて代金が支払われた場合は、すべての回を合算した金額で判断しなければなりません。
不動産が共有名義で他の相続人の持分と一緒に売却した場合も、すべての相続人の譲渡対価を合算して考えます。
売却先が第三者であること
親子や配偶者など親しい人への不動産売却ではないことも必須条件になっています。
また親族だけでなく友人や内縁関係、親族が経営する法人への不動産売却も対象外です。
耐震基準に適合していること
旧耐震基準の建物であることが一つの条件となっていましたが、耐震性が低いままの状態で市場に流通させるのは危険です。
耐震性に問題がある場合は、耐震リフォームなどをおこない耐震性を向上させるか、建物自体を解体することが条件になります。
耐震基準に適合していることを証明するためには、「耐震基準適合証明書」か「建設住宅性能評価書の写し」を提出しなければなりません。
空き家特例を活用した不動産売却!③空き家特例のポイントとは
空き家特例の適用条件をすべて満たしていると思っても、つまずきやすいポイントがあります。
細かいポイントが多いですが、見落とすと適用を受けられなくなる恐れがあるのでしっかりと押さえておきましょう。
建物を取り壊すタイミングに注意しなければならない
建物を取り壊してから土地を売却する方法を選択した場合、建物を取り壊すタイミングは重要です。
もし建物が残ったまま不動産売却をしてしまった場合は、空き家特例を活用できません。
取り壊し費用を負担したくない売主は、買主に引き渡し前に先行して取り壊しをおこなうよう依頼するのがポイントです。
共同相続するときは分割協議書の書き方に注意しなければならない
複数人で不動産を共同相続した場合、不動産売却によって得られた現金を均等に分ける「換価分割」という方法を選択する場合があります。
換価分割のポイントは、相続人それぞれの譲渡所得につき最高3,000万円ずつ控除される点です。
しかし換価分割の内容を示す分割協議書の書き方を誤ると1人分の控除しか利用できない注意点があります。
分割協議書には共同相続である旨や不動産売却益を分配する旨をしっかりと示しておかなければなりません。
被相続人から土地と建物をセットで相続しなければならない
土地は父親・建物は母親から相続というように、土地と建物の被相続人が別々になってしまうケースは少なくありません。
将来的に空き家特例の活用を考えている場合は、土地と建物を同一人物に相続するよう意識しておくことがポイントです。
まとめ
ここまで不動産売却における空き家特例の概要や適用条件、ポイントを解説してきました。
空き家特例とは大幅に譲渡所得税を節約でき、場合によっては無税にすることも可能になる制度です。
しかし空き家特例の条件はとても厳しく、空き家だからといって簡単に受けられるものではありません。
将来空き家特例の活用を考えている場合は、早めに要件とポイントを押さえておきましょう。
建物の耐震性が低い場合は、耐震リフォームや取り壊しなど追加のコストも必要になります。
それらのコストと不動産売却益、税金控除などのバランスを見極めて、空き家特例を使うか判断してください。
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