土地を借りてマイホームを建てるケースは少なくありません。
借地権が含まれていても、不動産を売りたいと検討している方は多いのではないでしょうか。
今回は借地権を含む不動産の売却について解説します。
借地権の売却ではトラブルが起きやすいため、売却方法や注意点をよく理解しておくことが重要です。
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら借地権を含む不動産売却①借地権とは
借地権とはどのような権利なのでしょうか?
ここからは借地権とは何か、その概要についてご説明します。
借地権とは
建物を建てるための底地を借りる権利を借地権といいます。
建物の所有権は自分に帰属している一方で底地権者は地主です。
借地権者は地主に対して借地料を払わなければなりません。
底地権と借地権の両方がそろうと、不動産を全面支配できる所有権になります。
地上権と賃借権の違い
借地権は地上権と賃借権の2種類に分けられ、それぞれで性格が異なるのが注意点です。
地上権とは、自分の建物を所有する目的で土地を使用する権利を指します。
土地のほかに、地下や上空にも設定することが可能です。
また地上権は物を直接支配できる物権に位置付けられ、地主に対してだけでなく他の誰にでも対抗できる力を持っています。
一方で賃借権とは、土地を活用して利益を享受する権利です。
借地権者は賃貸借契約に基づいて土地を借りているだけで、地主が所有権を握っています。
賃借権は債権の一種であるため、賃貸借契約の当事者間でしか効力を発揮しません。
借地法(旧法)と借地借家法(新法)の違い
借地権を定める法律は借地借家法(新法)といいます。
借地借家法(新法)は借地法(旧法)や借家法、建物保護法を一本化して1992年に新しくできた法律です。
改正前に締結している契約では、今でも借地法(旧法)が適用されます。
借地法(旧法)と借地借家法(新法)のどちらが適用されているかによって、更新や存続期間などに違いがあるのが注意点です。
借地法(旧法)とは
1992年(平成4年)8月1日以前に結んでいる契約に適用されるのは借地法(旧法)です。
借地法(旧法)に基づく借地権の存続期間は、堅固な建物(鉄筋造、鉄筋コンクリート造)の場合60年、非堅固な建物(木造)の場合20年になります。
契約更新後の存続期間は堅固な建物で30年、非堅固な建物で20年です。
借地借家法(新法)とは
1992年(平成4年)8月1日以降に契約を結んでいる場合に適用されるのは、借地借家法(新法)です。
借地借家法(新法)に基づく借地権には、更新できる普通借地権と更新なしの定期借地権の2種類が存在します。
普通借地権の存続期間は、30年以上です。
1回目の契約更新では存続期間は20年以上、2回目は10年以上で設定されています。
一方で定期借地権は更新がなく、期間満了を迎えたら建物を解体して更地で地主に返す仕組みです。
定期借地権には一般的借地権・建物譲渡特約付借地権・事業用借地権の3種類があります。
一般定期借地権とは長期間土地を利用できるのが特徴で、存続期間は50年以上です。
分譲住宅などでは一般的借地権が多く採用されています。
建物譲渡特約付借地権とは、地主が建物を買い取るという特徴的な仕組みです。
存続期間は30年で、地主が買い取ると借地権は消滅します。
事業用借地権とは、名前からわかるとおりオフィスや店舗など事業用建物を建てる目的で設定されます。
存続期間は10年以上20年未満です。
借地権を含む不動産売却②借地権付き不動産は売却できる?
不動産は借地権が付いた状態で売却できるのでしょうか?
結論としては売却できるといえますが、いくつか注意点があります。
さらに誰に売るかによって適切なプロセスを踏まなければなりません。
それぞれの方法の特徴と、売却をスムーズにできるコツをご説明します。
地主に売る方法
地主の承諾がとれれば、地主に借地権を買ってもらうことができます。
地主の視点で考えると底地権と買い戻した借地権が組み合わさり不動産価値も高まるため、メリットを享受しやすい方法といえるでしょう。
地主以外に売る方法
不動産を借地権が付いた状態で地主以外に売るときも、地主の承諾が必須条件です。
地主に無断で売ってしまうと契約解除になるので気を付けましょう。
売却の承諾がとれれば、借地権者から地主へ譲渡承諾料(名義変更料)を払わなければなりません。
譲渡承諾料(名義変更料)の金額は、借地権価格の10%が目安です。
借地権を含む不動産は担保価値が低いため、買主がローンを組む場合は審査が厳しくなるという注意点があります。
したがって売却価格も安くなる傾向があるため、できるだけ多くの利益を得たい場合はおすすめできません。
売却をスムーズにできるコツ
借地権を含む不動産の売却では、買い手がいなかったり売却価格が安くなったりする恐れがあります。
スムーズに売るコツは、借地権と底地権を組み合わせて売ることです。
底地権を持つ地主との地道な交渉がなくては、成立しません。
ここからは、借地権と底地権をどうやって組み合わせるのか解説します。
地主と協力して底地権とともに第三者へ売却
底地権と借地権を組み合わせれば、不動産を完全に支配できる所有権になります。
所有権の状態で売れれば多くの利益を享受できるのですが、地主に底地権の売却を説得するのは至難の業です。
借地権と底地権の一部を等価交換して売却
一部の借地権と底地権を等価交換するのも有効です。
面積は小さくなりますが、借地権と底地権を両方そろえることで所有権として売却できるでしょう。
ただしもともと狭小な土地や不整形な土地でこの方法を採用すると、価値が下がってしまうのが注意点です。
借地権を含む不動産売却③借地権を含む不動産を売却するときの注意点
借地権を含む不動産を売るには、価格や譲渡承諾料(名義変更料)の交渉など難易度の高い手続きが発生します。
注意点を知らずに手続きを進めてしまうと、トラブルや後悔につながるケースも少なくありません。
ここからは借地権を含む不動産を売却するときの注意点についてご説明します。
個人間での直接交渉を避けること
売却価格や譲渡承諾料(名義変更料)は売主と買主の協議で決める流れが一般的です。
しかし不動産取引に精通していない個人間だけで協議をしてしまうと、相場から乖離してしまう恐れがあります。
トラブルを避けるための注意点は、個人間での直接交渉ではなく仲介会社が入った座組みで交渉を進めることです。
地主による承諾が見込めない場合もあきらめないこと
借地権を含む不動産を売りたいのに地主による承諾が見込めない場合は、土地賃借権譲渡許可の申し立てが有効です。
土地賃借権譲渡許可とは、地主の代わりに裁判所から許可を受けることができる仕組みです。
借地権を譲渡しても地主が不利な立場にならないと裁判所が結論付けた場合は許可がもらえるでしょう。
まとめ
ここまで借地権を含む不動産の売却について解説してきました。
借地権とは建物を建築や所有する目的で底地を借りる権利を指し、適用される法律や借地権の種類は複数にのぼります。
一口に借地権といっても性質が異なるため、それぞれの違いを把握しておきましょう。
借地権を含む不動産は売却できるものの、地主の承諾が必須条件になります。
また借地権単体での売却は価格が下がりやすいのが注意点です。
できるだけ高く不動産を売りたいのであれば、地主と協力して底地権と借地権をあわせて売却したほうが良いでしょう。
売却をスムーズに進めるためには地主の協力を得ることがとても大切です。
ただし地主が承諾してくれない場合でも、土地賃借権譲渡許可の申し立てなど打開策はあります。
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら