現在、日本では数多くの不動産が登記されずに放置されており非常に大きな問題となっています。
今までであれば、相続した不動産の登記をしてなくても罰則はありませんでしたが、法改正後は義務となるので、これから相続をする方や相続して登記をおこなっていない方は注意が必要です。
この記事では、相続登記が義務化された背景や、登記を怠ったときのリスクや罰則を解説していくので、相続についてお困りの方は参考にしてみてください。
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ここでは、相続登記が義務化された背景や、法令の施行時期などをご紹介していきます。
相続登記とは
相続登記とは、親や親族などの遺産を相続した場合に、不動産などの名義人を変更するための手続きです。
遺産を相続したら所有権が相続人に移るので、名義人を変更して資産の所有権が誰に移ったのか明示する必要があります。
相続登記をしなければ、相続した資産を誰が引き継いだのか分からず、取引がスムーズにできなくなるのでこういった制度があります。
相続登記が義務化された背景
相続登記が義務化された背景には、全国各地にある所有者不明の土地が原因といわれています。
長期間空き家になっている住宅の多くが、未登記のまま放置されているので、誰が所有している建物なのか分からず、取り壊すこともできずそのまま残り続けてしまうのです。
取り壊しができないまま空き家が増えていくので、地域の景観を損ねたり老朽化による倒壊の恐れが出てきたりしています。
地域開発なども進めることができないという大きな問題になっています。
とくに相続する場合は、登記申請を忘れていたり、空き家を相続しても税金を払えないといった理由から登記をしない方が多いので、相続登記が義務化されました。
法改正の日程
相続登記が義務化されるのは、令和6年4月1日からの施行を予定となっています。
この法改正は、令和3年12月14日に国会で閣議決定されたもので、同月の17日に交付されました。
相続登記の義務化により、今までは強制力がなかった登記に関しても罰則が加えられることで、空き家問題を解決できるとしています。
相続登記が義務化されることでどうなる?
相続登記が義務化された場合、罰則や義務がどうなるか気になる方も多いと思います。
ここでは、義務を怠った場合に課せられる罰則や、具体的にどういったことが義務となるのかご紹介していきます。
相続登記の期限は3年以内
相続登記の義務化により遺産などを相続した場合は、相続したと知った日より3年以内に登記をすることが義務付けられました。
ひとりで相続する場合は、相続したときから3年以内に登記申請をしなければいけません。
しかし、相続人が複数いて遺産分割協議が完了していない場合はこの限りではありません。
ですので、遺産分割協議が進まず相続人が決まらないときは、一時的に罰則を逃れることができます。
遺産分割協議に関する期限はないため、しっかり話し合いをして決めることができますが、話し合いが終わり相続した場合は、速やかに登記をしないと過料が発生するのですぐに登記登録をしてください。
また、相続登記は相続人全員でおこなうことと決められていましたが、この義務化にともない代表者1人での登記申請が可能になりました。
相続登記を怠った場合の罰則
相続登記を期間内に済ませなかった場合は、10万円以下の過料が発生します。
この罰則は、相続登記を悪質な理由でしなかったときなどに限り適用するといわれています。
もちろん、相続登記は義務となっているので放棄することはできませんが、なんらかの事情で登記登録ができない場合は、その問題が解決するまでは罰則を受けることはありません。
住所変更に伴う変更登記
相続登記の義務化に伴い、変更登記も義務化されました。
ですので、引っ越しなどをして住んでいる場所が変更になったときは、住所変更したことの登記をしなければ罰則を受けることになります。
これは、相続登記で名義変更を行なっても相続人の所在がわからなければいけないので、相続登記とセットで義務になりました。
住所や氏名の変更登記に関しては、変更があってから2年以内におこなわなければ5万円以下の過料が発生します。
ですので、相続登記をしたときや住所変更があったときは、必ず変更登記をしてください。
相続した資産を放棄できる制度
今回の法改正によって、相続した資産を放棄できる「土地の所有権放棄」という制度が作られました。
相続した土地を手放したい方は、土地の所有権放棄を利用することで、国に土地を返還することができます。
この制度は、相続した土地をうまく活用できない人や、売却できずに困っている方を救済する目的で作られました。
土地を相続しても使わずに放置していると税金の無駄が発生してしまいますが、土地の所有権放棄を利用することで、速やかに土地を手放すことができます。
また、現在の法律では建物がある場合は土地のみの売却ができませんが、法改正後は建物がある場合でも土地のみの放棄ができるようになります。
相続登記をせずに放置した場合に起きる問題
相続登記を怠ると罰則以外にもさまざまなリスクを抱えることになります。
ここでは、相続登記を怠ったときのリスクをご紹介していきます。
相続分割協議が難航する
相続登記をしなかった場合、相続人を決める相続分割協議が難航してしまいます。
遺産の相続ができる状態であるのにも関わらず登記をしないと、時間が経つにつれ相続対象となる人物が増えてしまいます。
もともとは、配偶者や子どもだけが相続対象になるところですが、時間が経ち子どもが増えたりすることで相続対象となる人物が増えてしまうのです。
相続人が増えると話は決まりませんし、何より関係の薄い人物まで話し合いに参加することで協議が難航してしまいます。
話し合いによっては、トラブルに発展する可能性も高くなるので、この点はリスクといえるでしょう。
遺産の名義変更ができなくなる
相続登記をしないことで、相続に必要な書類を確保できなくなる場合があります。
遺産を相続するときは、除籍の附票や住民票の除票などの書類が必要になりますが、これらの書類には保存期間が決められており、その期限を過ぎると処分されてしまうのです。
これらの書類の保存期間は、5年となっているものが多いので、5年以上経つと書類を集めるのも困難になります。
書類が集まらないと、土地の名義変更を変えることもできないのでこういった点もリスクといえるでしょう。
不動産の所有権を失う可能性がある
相続登記を長期間しなかった場合、不動産の所有権を失う可能性もあります。
たとえば、兄弟で不動産を分割して相続したときに相続登記をしなかったとします。
このとき、登記をしていなければ不動産を分割したという記録が残っていないので、兄弟のどちらかが分割した不動産もあわせて売却してしまっても、自分の所有物であることを証明することができず、不動産を取り戻すことができなくなります。
こういったことが兄弟間で起こる可能性は低いですが、遠い親戚や血縁関係にない人物と分割相続した場合には、起こり得る可能性は十分にあります。
一度、登記がされてしまうと自分が所有していたことを証明できなくなるのでこの点もリスクといえるでしょう。
まとめ
相続登記が義務化された背景や、登記をせずに不動産を放置した場合どうなるかを解説しました。
今回の内容を見てわかるとおり、相続登記を放棄すると罰則を含めデメリットばかりとなっています。
相続登記をすることで、こういったデメリットを回避することができるので、しっかり相続登記をするようにしてください。
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