不動産の売却を検討されている方のなかには、「不動産売却で消費税はかかるの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、不動産売却における消費税の課税・非課税について解説していきます。
あわせて、不動産売却時の消費税にまつわる注意点についても触れていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
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そもそも、消費税の課税対象は、「国内において事業者が事業として対価を得ておこなう資産の譲渡、貸付け、および役務の提供と外国貨物の輸入」とされています。
不動産売却の場合は、個人の売却なのか、法人や事業者としての売却なのか、という点で消費税のかかり方が異なるのです。
不動産売却で、消費税が課税されるケースを具体的に見ていきましょう。
仲介手数料
不動産売却は不動産会社と媒介契約を結び、買主を探して売却するというのが一般的です。
その際、不動産会社に支払うものに仲介手数料があり、消費税が課税されます。
仲介手数料は、法律で上限が決まっていますが、あくまでも上限なので物件によって仲介手数料が割引きになったり、無料になったりするケースもあり、その場合にはもちろん消費税は発生しません。
一括繰り上げ返済手数料
不動産を売却する際、住宅ローンの残債があると売却することができません。
住宅ローンを組んだ際、不動産に抵当権が設定され担保となっているからです。
そのため、売却益や自己資金で住宅ローンを一括繰り上げ返済することになります。
しかし、住宅ローンの一括繰り上げ返済には手数料がかかるのです。
その一括繰り上げ返済時の手数料に消費税が課税されます。
一括繰り上げ返済の手数料は金融機関によって異なりますが、一般的な変動金利のローンで5,000円前後が相場です。
固定ローンの場合は3〜5万円が相場となります。
最近では、インターネットでも繰り上げ返済が可能な金融機関もあり、手数料が安かったり、無料になったりすることもあり、その場合は消費税の節税も可能です。
司法書士への報酬
上記のように不動産売却時に住宅ローンの残債を完済した場合、自動的に抵当権が消滅するわけではありません。
抵当権を抹消するには、抵当権抹消登録の手続きをおこなう必要があるのです。
抵当権抹消登記は、司法書士に依頼することが一般的ですが、司法書士報酬に消費税が課税されます。
法人・事業者
法人や個人事業者が不動産売却をおこなった場合、消費税の課税対象となります。
しかし、消費税の対象は建物であって、土地の売却には消費税がかかりません。
ただし、土地を駐車場や地下車庫などにしている場合は、設備とみなされますので消費税の課税対象となります。
たとえば、不動産の売却価格が3,000万円だとして、建物が1,000万円、土地が2,000万円だった場合、建物価格1,000万円に対して10%の税率が課されるのです。
また、仲介手数料にも消費税が課税されます。
前々年の売上高が1,000万円以上
消費税の課税対象は法人や事業者とご説明しましたが、個人の売却であっても課税の対象となるケースもあります。
前々年度の課税売上高が1,000万円を超えた場合に事業者の対象となり、消費税の課税対象となるのです。
たとえば、サラリーマンであっても家賃収入などによって、課税売上高が1,000万円を超える場合は課税事業者とみなされ、消費税の課税対象となります。
不動産売却で消費税が非課税となるケース
次に、不動産売却で消費税が非課税となるケースを見ていきましょう。
土地の売却
先ほど少し触れましたが、土地の売却は消費税の対象となりません。
土地は消費される性質ではないため、非課税となるのです。
土地の上に建っている建物については消費税が課税されますが、庭木や石垣などを土地を一体で売却する場合は消費税が非課税となります。
不動産譲渡所得税などの税金
不動産売却によって譲渡所得が発生した場合、不動産譲渡所得税を支払う必要があります。
また、売買契約書を作成する際に印紙税も発生しますが、これら自体が税金なため消費税は非課税です。
個人の売却
消費税の性質上、個人で不動産を売却する分には消費税が課税されません。
しかし、先ほどもお伝えしたとおり、不動産会社に支払う仲介手数料には消費税が課税されます。
これは、不動産会社が課税対象者となるため、仲介手数料に消費税が課税されるのです。
前々年の売上高が1,000万円以下
消費税は法人や事業者に課税される税金ですが、基準期間における課税売上高が1,000万円以下の場合は非課税となり免税事業者となります。
基準期間とは、前々年の売上課税高のことです。
その場合、消費税の納税義務者ではなくなったという届出を提出する必要があります。
また、新設の法人は基準となる期間がありませんので、免税事業者となります。
しかし、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合は、その課税期間から課税事業者となるのです。
特定期間とは、事業開始以後の6か月間のことを指します。
先ほどもお伝えしましたが、個人であっても、家賃収入などが1,000万円を超える場合は課税事業者となり、課税対象となりますので注意しましょう。
不動産売却時の消費税についての注意点
最後に不動産売却時の消費税についての注意点をご紹介します。
不動産価格は税込で表示
2013年に施行された、「消費税転嫁対策特別措置法」では、価格は税込表示ではなくても良いとされています。
しかし、不動産価格については「不動産の表示に関する公正競争規約施工規則」により、消費税も含めて表示することとなっているのです。
そのため、消費税課税事業者であれば、消費税をばらして納税する必要があります。
しかし、個人で売却した場合は売却価格から消費税を差し引いた価格が手元に残ることになるのです。
個人の売却では消費税を支払う必要はないものの、この表示方法を理解しておく必要があるでしょう。
消費税の申告・納税方法
消費税の申告は確定申告でおこないます。
個人事業主は翌年3月末日まで、法人は課税期間の末日の翌日から2か月以内に税務署へ申告をおこない、納税することが一般的です。
また、直前の課税期間の消費税額が48万円を超える場合、中間申告と中間納税が必要となります。
不動産売却の場合は、課税対象者が直前の課税期間に480万円越えの建物を売却した際に中間申告と中間報告が必要となるのです。
中間申告と中間納税をおこなわない場合は、加算税や延滞税などの税金が課せられますので注意が必要となります。
不動産売却で発生した消費税の仕訳方法
不動産売価で発生した消費税は、仮受消費税という勘定科目となります。
この場合、土地の計上はしなくてもよく、建物のみを計上しますが、売却益が発生しているケースでは、その売却益の計上は固定資産売却益として土地と建物の両方を計上する必要があります。
まとめ
今回は、不動産売却時の消費税について解説しました。
不動産売却は法人や事業者、個人によって課税範囲が異なります。
基本的に不動産の売却による消費税は、法人や事業者に課税されますが、個人で売却した場合も課税されるケースがあるので注意が必要です。
不動産売却時にかかる支出を抑えるためには、何に対して消費税がかかるのかを正しく理解しておくことが重要でしょう。
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