家を購入したり建てたりするときは、ほとんどの方が火災保険に加入していることと思います。
火災保険に加入していると、後に解約した際、一部費用が返金される可能性があります。
しかし、返金を受け取るには、解約する際は契約者本人が手続きをしなければなりません。
そこで今回は、不動産売却時における火災保険解約のタイミングや返金額、解約前の注意点について解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら不動産売却時に火災保険を解約するタイミング
火災保険とは、建物や家財が災害による被害を受けた際に補償が受けられる保険のことです。
契約内容によって異なりますが、火災に限らず水害や落雷、水漏れや盗難などにも対応している場合もあります。
解約のタイミングとは
火災保険を解約するタイミングとしては、引き渡し後が良いとされています。
火災保険を途中解約するには、契約期間が1か月以上残っていることが条件となります。
解約手続きをおこなった際、解約時から未経過分の保険料が還付される仕組みです。
そのため、解約が早いほど返金される額は大きくなります。
しかし、不動産の売買契約では引き渡しまでに日数がかかり、場合によっては2〜3か月もの期間が空くことも少なくありません。
そうなると、先に新居に引っ越しをし、数か月空き家になることもあるでしょう。
空き家に火災保険は不要だと感じるかもしれませんが、万が一引き渡しまでに建物が災害に遭った場合、売主に建物の修繕をおこなう義務があります。
このとき、火災保険に加入していなかった場合は、保険が適応されないため売主が修繕にかかる費用を負担しなければなりません。
さらに、買主から売買契約を取り消され、手元には災害に遭った建物だけが残るという可能性もあるため注意が必要です。
このようなリスクを考慮すると、火災保険は買主への引き渡し後もしくは、名義変更をするまで加入しておいたほうが良いでしょう。
申請の流れ
不動産を売却し名義変更があっても、保険会社から連絡が来たり、自動的に返金されるということはありません。
そのため、原則、契約者本人が申請手続きをおこなう必要があります。
申請の流れは以下のとおりです。
まずは、火災保険に加入している損保会社に連絡をしましょう。
すると、自宅に書類が送られてくるため、必要事項を記入し返送します。
書類に不備がなければ手続きが完了し、未経過分の保険料が口座に振り込まれる仕組みです。
また、損保会社に連絡する際は、契約者本人でないと受け付けてもらえません。
代理人が手続きする場合は、委任状が必要な場合もあるため注意が必要です。
不動産売却時に火災保険を解約した際の返金額とは
火災保険を解約すると、未経過分の保険料が返金されます。
返金される額は、保険会社や未経過分がどれぐらい残っているかによっても変わってくるため、計算方法や実際の計算例をもとにご紹介します。
返金額の計算方法
返金額の計算方法は、「年間保険料×長期係数」で「長期一括保険料」を計算し、「長期一括保険料×未経過料率係数」で求めることができます。
「未経過料率係数」とは、契約時からの経過年数に応じた返金額を計算する特殊な係数です。
たとえば、経過年数が1年未満の未経過料率係数は89〜97%、5年経過すると41〜50%、9年経過すると0〜10%と経過年数が経つにつれ減少します。
ただし、保険会社によって具体的な数値は異なるため、問い合わせて確認しなければなりません。
返金額の計算例
10年の契約期間で1年間に支払う保険料は2万円、長期係数は8. 2で契約から5年3か月で売却した場合の条件をもとに実際に計算してみましょう。
まず、年間保険料2万円×長期係数8.2の計算方法により、長期一括保険料16.4万円が算出されます。
未経過料率係数が49%とした場合、長期一括保険料16.4万円×49%で返金額は80,360円と求めることができます。
火災保険自体に掛けている額が大きな金額ではないため、返金額は数万円程度が多いようです。
地震保険の場合
地震保険にも加入している場合は、同様に返金される可能性があります。
未経過料率係数は1年未満で79〜96%、2年経過で40〜58%、4年経過すると0〜18%と減少します。
火災保険との違いは、地震保険の長期契約は最長5年で、地震保険の運営は国であるため未経過料率係数も一律という点です。
不動産売却時に火災保険を解約する前の注意点
火災保険は早く解約することで、返ってくる金額が多くなるため、できるだけ早く手続きしたいと思っている方も多いかと思います。
しかし、解約前に補償内容をもう一度確認し、使えそうな補償があれば使っておくのが重要なポイントです。
そこで、ぜひ確認していただきたいポイントをご紹介します。
修繕箇所はないか
解約前には、保険を使い修繕できる箇所はないかチェックしておきましょう。
火災保険の多くは、自然災害による損害にも対応しています。
たとえば、台風での雨漏り被害や、浸水による床被害などによる修繕も適応の対象となります。
雨漏りが起こると気付くこともできますが、屋根の一部だけ被害に遭っていた場合などは気付きにくいのが現状です。
とくに、給排水設備の水漏れによる被害は、引っ越しまで気付かないこともあるため注意してチェックするようにしましょう。
もしも、引き渡し後に欠陥が発覚した場合、売主に「契約不適合責任」を求められる可能性もあります。
そのため、解約前には念入りに家の調査をおこない、修繕箇所があった場合は保険を有効活用しておきましょう。
契約不適合責任とは
契約不適合責任は、「契約内容に適合しないときは売主の責任となる」の略です。
売主が契約内容と異なるものを売却した際、売主が責任を負い買主は保護されるのを契約不適合責任と言います。
たとえば、引き渡し後に給排水設備の水漏れが起こったとします。
売主は事前に水漏れのことを買主に知らせていたとしても、契約書に水漏れに関する記載がされていない場合は契約内容と異なると判断され、売主が責任を負わなければなりません。
一方、水漏れについて買主からの了承を得ており、契約書にも水漏れに関する記載がされていれば、売主が契約不適合責任を負うことはなくなるのです。
以前は、「瑕疵担保責任」と呼ばれており、買主は「隠れた瑕疵」に対して責任追及できるという内容でした。
隠れた瑕疵とは、通常の注意を払っていたにも関わらず買主が見つけることができなかった瑕疵のことです。
しかし、実際に隠れていたかどうかを判断するのは困難であったため、契約不適合責任が制定され、契約書に記載があるか否かで判断するようになりました。
一見、買主に有利な条件のようにも思えますが、契約不適合責任の全部免責や一部免責の特約は瑕疵担保責任と同様に存在します。
そのため、「契約不適合責任を全部免責する」、「契約不適合責任を負う期間は3か月とする」というような内容であっても買主が了承した場合に限り有効となります。
ただし、売主が不適合と知ったうえで故意に買主に報告しなかった場合は、責任免除の効力は無効になるため注意が必要です。
まとめ
不動産売却時の火災保険解約のタイミングは、引き渡し後が良いでしょう。
返金額の計算方法は、長期一括保険料×未経過料率係数で求めることができますが、保険会社によって異なることもあるため注意が必要です。
また、解約前には修繕箇所がないか念入りにチェックし、修繕する際は火災保険を有効活用しておきましょう。
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