人が亡くなったことのある不動産は、事故物件になる可能性があります。
では、家族などを自宅で介護して最期を見届ける「在宅看取り」をした家も、事故物件に該当するのでしょうか。
今回は、在宅看取りをしたことがある自宅が事故物件に該当するかを判断する基準や、不動産売却への影響について解説します。
在宅看取りは事故物件扱い?事故物件として売却するのか
病気になった際に自宅で療養できると、生活の質が向上したり、ストレスが減るなどのメリットがあります。
病院だと制約の多い生活になりますが、自宅療養なら希望の料理を食べたり、好きな時間に入浴できたりなどの自由があります。
自由な生活は万病のもとといわれるストレスの減少につながり、病気の治療に良い効果をもたらす可能性があります。
ただし、在宅看取りをした家は事故物件とみなされる可能性があるので、注意が必要です。
事故物件に該当する不動産とは
事故物件とは、心理的瑕疵のある不動産のことです。
瑕疵とは傷や欠陥のことで、住むことに強い抵抗を感じる出来事を心理的瑕疵といいます。
不動産の瑕疵には、ほかにも物理的瑕疵や法律的瑕疵、環境的瑕疵があり、これらの瑕疵がある不動産を売却する際は買主への告知義務があります。
心理的瑕疵は、人によって感じ方が異なるため、判断が難しくなっています。
そのため、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」に参考となる基準が載っています。
このなかには、「告知義務が発生しない人の死」について以下のように記載されています。
●自然死や病死、不慮の死(転落事故や誤嚥など)
●隣接住戸などで発生した死亡事案全般
これらをふまえると、心理的瑕疵に該当するのは「その物件内で起こった自殺や殺人、火災による死亡」だといえます。
ただし、告知についての原則には「取引相手の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は、これを告げなくてはならない」とあることに注意が必要です。
自殺や殺人、火災による死亡以外でも、この原則に該当する場合は告知義務が発生するからです。
たとえば、自然死や病死、不慮の死であっても、発見までに時間がかかって特殊清掃を実施した場合などは、告知が必要になる可能性が高いといえます。
そして、告知義務が発生する出来事は心理的瑕疵に当たり、その出来事が起きた不動産は事故物件になることが考えられます。
在宅看取りをした家は事故物件に該当するのか
在宅看取りは病死であるため、ガイドラインによると「告知義務が発生しない人の死」に該当します。
告知義務のない出来事には心理的瑕疵がないと考えられるので、在宅看取りをした家は基本的に事故物件には該当しません。
ただし、人の死に対する感じ方には個人差があり、原因に関係なく気になる方もいるでしょう。
そのため不動産売却の際は、在宅看取りをしたことを買主に伝えたほうが良い場合もあります。
また、物件内で人が亡くなったことが誤った内容で広がり、風評被害を受ける可能性もあるので注意が必要です。
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在宅看取りは事故物件扱い?告知義務が必要と判断されるケース
人が生活している家では自然死や病死などが起こり得るため、通常はこれらの出来事に告知義務は発生しません。
ただし、「取引相手の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるケース」に該当する場合は、告知義務が発生します。
たとえば、孤独死は発見されるまでに時間がかかり、特殊清掃が必要になることがあります。
その場合は自然死であっても告知義務が生じて、事故物件として扱われる可能性があります。
在宅看取りをした家が事故物件になるケース
在宅看取りの場合は、亡くなった方が発見されるまでに時間がかかる可能性が低いので、事故物件に該当することは少ないと考えられます。
ただし、以下のようなケースは心理的瑕疵だとみなされ、事故物件になることがあるでしょう。
●事件性があるケース
●部屋に異臭や汚れが残ったケース
在宅看取りであっても、「遺体の発見までに長い時間がかかった」などの不審な点があった場合は事件性が疑われ、警察の調査が入ります。
調査によって事件性のあることが判明した場合は、事故物件になってしまいます。
事件性がなかったことが判明しても、警察の捜査が入ったことによって、事故物件の印象を持たれてしまう可能性がある点には注意が必要です。
また、部屋に異臭や汚れが残ってしまい、改善のために特殊清掃やリフォームなどをおこなった場合も、事故物件になることが考えられます。
在宅看取りをした家が事故物件に該当する場合に生じる影響
在宅看取りをした家が事故物件に該当した場合は、以下のような影響が懸念されます。
●不動産の売却価格への影響
●売却にかかる時間への影響
一般的に、不動産の資産価値は条件が良いほど高まり、瑕疵などの欠陥があると低下します。
資産価値は、不動産が市場で売却できる価格とほぼ同じであるため、資産価値が下がると売却価格も下がってしまいます。
売却価格への影響の度合いは、内容や状況などによって異なります。
一般的には、近所に広く知られていると10~20%、異臭や汚れが残ったままだと30~50%ほど売却価格が下がるといわれています。
また、事故物件は購入希望者が少ないと考えられるので、売却までの時間にも影響が生じる場合が多くあります。
そのため、在宅看取りをする際は、事故物件だとみなされないようにすることが大切です。
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在宅看取りは事故物件扱い?売却への影響
在宅看取りであっても、事故物件に当たると判断された場合は売却の際に影響が生じてしまいます。
売却の際に生じる影響をできるだけ抑えるためには、以下の3点をおこなうことが大切です。
●①24時間以内に主治医の死亡確認を取る
●②必要に応じて買主に告知をする
●③自宅以外での看取りも検討する
これらの方法について、それぞれ解説します。
①24時間以内に主治医の死亡確認を取る
自宅で死亡者が出ると、通常は警察の検死によって死因を調べられます。
先述のとおり、事件性のない場合でも、警察が自宅に入ると印象が悪くなる可能性があります。
ただ、在宅看取りは病名や死因がわかっているので、24時間以内に主治医による死亡確認が取れた場合は検死を受けることにはなりません。
そのため、警察の出入りをできるだけ防ぐためには、死亡確認がスムーズにおこなえる体制を整えておくことがおすすめです。
②必要に応じて買主に告知をする
人の死に心理的瑕疵を感じるかどうかは、個人差が大きいものです。
そのため、在宅看取りであっても心理的瑕疵を感じる方がいることには注意しましょう。
とくに、病死から日が浅い場合は抵抗を感じる方が多いかもしれません。
瑕疵の存在を買主へ伝えずに売却したとみなされた場合、売主は契約不適合責任と呼ばれる責任を負ってしまいます。
そのため、「在宅看取りだから平気だろう」と安易に判断せず、売却する際は不動産会社へご相談ください。
③自宅以外での看取りも検討する
在宅看取りをした場合は、心理的瑕疵になる可能性をなくすことができません。
心理的瑕疵に当たると判断されると、売却価格が相場よりも下がってしまいます。
売却への影響をできるだけ抑えるためには、自宅以外での看取りを検討することも1つの方法です。
たとえば、介護施設なら、病状が急変してもすぐに対応してもらえるので、介護の面でも安心できます。
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まとめ
在宅看取りをした家は、基本的には事故物件になりません。
ただ、亡くなったときの状況などによっては、事故物件だとみなされることがあるので注意が必要です。
ご自身で判断することは難しいかもしれないので、迷ったときは不動産会社へご相談ください。
不動産の窓口 メディア担当
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