さまざまな人の権利や思惑が錯綜する相続では、不公平な相続がおこなわれたり、最低限の遺留分も受け取れないといった事態が起きかねません。
そんな事態が起きてしまった際にとれる選択肢のひとつが「遺留分侵害額請求」です。
この記事では遺留分侵害額請求とはどんな制度なのか、その請求方法をご紹介いたします。
明石市周辺で不動産の売却や相続でお悩みの方は、ぜひご参考になさってください。
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相続における遺留分侵害額請求とは?
遺留分侵害額請求とは、遺留分に相当する財産を相続できなかった場合に、受け取れなかった分の金銭の支払いを侵害した人へ請求できる制度のことです。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められている「被相続人の財産から取得できる最低限の取り分」のことで、法律によって保障されています。
しかし、遺言によって不公平な相続がおこなわれたり、生前贈与がおこなわれると、遺留分を受け取れない可能性もあります。
そこで、遺留分を侵害された遺留分権利者は、その分多く遺贈や贈与を受けた侵害者に対して、侵害された額に相当する金銭の支払いを要求することが可能です。
相続で遺留分侵害額請求をできる人
しかし、先述したように、遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人にのみ認めらている権利であるため、遺留分侵害額請求をできる人も自ずと限られてきます。
次の3つの法定相続人に該当する場合は、遺留分侵害額請求をおこなえます。
●被相続人の配偶者
●被相続人の子ども・孫・ひ孫など
●被相続人の父母・祖父母・曾祖父母など
また、法定相続人本人だけでなく、遺留分を侵害された人の承継人も、遺留分侵害額請求をおこなうことができます。
ただし相続放棄をおこなうと、相続人ではなくなってしまうため、遺留分侵害額請求はできませんので注意しましょう。
遺留分侵害額請求の例
遺留分の侵害は、主に遺言に基づいた相続や、贈与がおこなわれた場合に起こるケースが多いです。
たとえば、ある被相続人に長男・長女・次男の3人の法定相続人がいて、3,000万円分の遺産を相続するとします。
このとき、被相続人が残した「長男に全財産を譲る」という遺言に従った場合、長男だけが3,000万円の遺産を相続し、長女と次男は何も受け取らないことになります。
しかし長女と次男は遺留分権利者であり、500万円の遺留分を得る権利があるため、遺留分侵害額請求が可能です。
この場合、長女と次男から長男に対して、それぞれ500万円ずつの金銭の支払いを求めることになります。
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相続における遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求の違いとは?
遺留分侵害額請求と似た制度に「遺留分減殺請求」があります。
実はこの遺留分減殺請求は、2019年7月1日に遺留分侵害額請求が施行される前に適用されていた旧法です。
そのため2019年6月30日以前に発生した相続は遺留分減殺請求に、2019年7月1日以降に発生した相続は遺留分侵害額請求に則って、請求をおこなうことになっています。
相続における遺留分の侵害に関する制度という点では同じですが、この2つの制度にはいくつかの違いがあります。
遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求の違い①:清算方法
遺留分減殺請求では、侵害された遺留分は「現物返還」が原則でした。
すると現金は現金で、不動産は不動産で戻ってくることになりますが、不動産のような分けられない遺産の場合、請求者と被請求者で共有することになっています。
しかし、遺留分侵害額請求では、どんな遺産であってもその価値に相当する金銭で返還することになりまったのです。
そのため、遺産の共有をめぐるトラブルが発生せず、スムーズに遺留分を受け取れるようになったのです。
遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求の違い②:支払い猶予
前述のとおり、遺留分減殺請求では現物返還が原則だったため、返還する期日も即時返還となっていました。
しかし、遺留分侵害額請求では、金銭で返還をおこなうため、被請求者の状況によってはすぐに金銭が用意できないことも考えられます。
そのため、遺留分侵害額請求においては、侵害額の全部または一部の支払い猶予が可能です。
ただし猶予が認められるためには、裁判所に支払いの猶予を求める必要があります。
遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求の違い③:生前贈与の期間
遺留分の侵害は生前贈与で発生することも多いため、どの期間までの生前贈与が侵害の対象になるのかは、とても重要なポイントです。
しかし、遺留分減殺請求では、生前贈与の期間が定められておらず、数十年も前の生前贈与が遺留分の算定に持ち出され、トラブルの原因となっていました。
そこで、遺留分侵害額請求では、生前贈与の期間が「被相続人の死亡前までの10年間」に限定されています。
引き合いに出される生前贈与の対象を減らせるため、遺留分侵害額請求のほうが、トラブルの可能性は少なくなっているといえるでしょう。
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相続で遺留分侵害額請求をおこなう方法とは?
ここまでで、遺留分侵害額請求とはどのようなものか、また遺留分減殺請求との違いが把握できたのではないでしょうか?
ここからは実際に遺留分侵害額請求をおこなう際の手順を、各ステップごとに解説いたします。
遺留分侵害額請求の手続き方法①:侵害者と話し合う
遺留分侵害額請求は、あくまでトラブルの収拾がつかない場合の手段です。
遺留分を侵害されてしまった場合、まずは侵害者との話し合いをおこない、遺留分を返してもらえないか、穏便な解決を目指していきましょう。
またすでにトラブルになってしまっている場合は、弁護士にも相談して、客観的かつ冷静な視点で話し合いを整理してもらうのもおすすめです。
もし返還について合意ができたなら、証明になるように合意書を作成しておきましょう。
遺留分侵害額請求の手続き方法②:内容証明郵便で請求書を送る
話し合いをしても同意が得られなかった場合、遺留分侵害額請求をおこなうことになります。
遺留分侵害額請求は、遺留分侵害額請求書を作成し、それを内容証明郵便に入れて相手方に送付することで、請求が可能です。
なぜ内容証明郵便で送るのかというと、遺留分侵害額請求には「相続・遺留分の侵害を知った日から1年の消滅時効」があり、内容証明郵便で送ることで時効を止められるからです。
遺留分侵害額請求書はインターネット上にさまざまな様式のものが掲載されているので、それらを参考に作成すると良いでしょう。
送付が完了したら、その内容をもとに再度侵害者と話し合いをおこない、支払ってもらうように促します。
遺留分侵害額請求の手続き方法③:請求調停をおこなう
しかしなかには、請求書を送付しても話し合いがまとまらない場合や、無視されてしまう場合もあります。
そうなってしまった場合、家庭裁判所に対して遺留分侵害額の「請求調停」を申し立てましょう。
調停では、家庭裁判所の調停委員が立ち会いのもと、当事者間での交渉をおこないます。
調停委員が双方の主張を聞きながら交渉を仲介してくれるため、直接話し合うよりもお互いに譲歩しやすくなるでしょう。
ここで双方が納得できれば、調停が成立し、遺留分を支払ってもらうことができます。
遺留分侵害額請求の手続き方法④:訴訟を起こす
調停までおこなっても遺留分の返還に合意してもらえない場合、訴訟を起こすほかありません。
この際、遺留分の金額が140万円未満であれば簡易裁判所に、140万円以上であれば地方裁判所に訴訟を提起することになります。
裁判所に証拠を提出し、遺留分の侵害が認められれば、裁判所から侵害者に対して遺留分侵害額の支払い命令が下ります。
もしそれでも相手が支払わなければ、差し押さえに出ることも可能です。
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まとめ
遺留分侵害額請求とは、遺言や贈与が原因で最低限の遺留分を受け取れなかった場合に、代わりに多く受け取った相続人に対して、遺留分に相当する金銭の支払いを請求できる権利のことです。
請求をおこなう場合はまず侵害者との話し合いをおこないますが、応じてもらえない場合は請求書の送付、それでも同意が得られなければ請求調停や訴訟と、段階的に手続きを取ることができます。
また遺留分侵害額請求の旧法に遺留分減殺請求がありますが、相続の発生日時によってどちらの制度が適用されるか異なるので、注意しましょう。
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